道の駅瑞穂の顔となっている産直市みずほは、昨年の10月23日で20周年を迎えました。
2004年の立ち上げ当初から産直市に携わり、店長・理事長を引退した現在も道の駅の館内放送を担当している上田郁生さんにお話を伺いました。
speaker:UEDA IKUO
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当初の「産直市みずほ」は、今の休憩スペースのとこで始まりました。
それ以前は日曜朝市言うて町内の田所、高原、出羽でもやりよったんですが、それらを軸にして120人くらいの出荷者が集まって。以来ずっと「農家のための店」言うんを掲げてやっとります。
今でも館内放送では「わしら農家の店、産直市みずほ」と言いよりますわね。あの放送も名物みたいに言うてくれる人もおりんさるけど、ありがたいですねぇ。
月に2回ほど、そん時そん時で話すこと考えてしょうるんですよ。
産直市は「邑南町にはこれしかない」という気持ちで提案したのが始まり。
あの頃は米価が下がって銭にならんから百姓する気になれんという人が多かった。
牛も飼わんようになったけ、そうすりゃ農機具買わにゃやれん。となると百姓なんかやっとれんと言う事になって徐々に荒れた土地が増えてきた。
どがあずせにゃあと思いよったんですが、何ちゅうても特産品がないんよね。
でもここは年寄りが一番多いいし、作る能力も体力もあって、しめ縄を作るとかいろんな昔ながらの技術と知恵がある。土地は十分あり余るほどある。そして広島から一時間で行き来できる。
欠点じゃあるけど、欠点も特徴だけぇ、この3つを合わせて何か、と思ったら産直市しかないよ、と思ったんですよ。
出荷者の仲良し団体から始まったけど、指定管理者になるということで、法人でないといけんということになって、今の企業組合という形になりました。
株式会社じゃ儲け主義的な感じがあるけ、そうでなくて「みんなが経営者」という考えに沿ったものにしようと。
とにかく農家のための店っちゅうものにしたかったけぇ。
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産直市にはできるだけいろんな人に出してもらいたいんです。
別に一人がよけえ出せなくても、ひとつふたつでもえぇし、川原で取ったツクシだとか、みんなが手をつけんようないろんなものを出してもらえると、「あそこはおもしろいもんがある」というイメージがつく。
かといって、よけえごっそりと出してくれる人もおらんと商品がもたん。
少し出す人とたっぷり出す人と両方があるから、店がもつんですね。そのためには出荷者が多いうないと。
今あっちこっちに勤めとる人が、勤めながらでもちっとずつ野菜づくりをやって出荷する習慣がつけば、その人らが退職したらもっと出してもらえるようになるんじゃないかと、そういう風になったらええなぁ思いよります。
そうすれば土地も荒れんわね。
このあたりの商店もだいぶ減ってきとるけど、町の商店が残っていくためには、近場で買い物する高齢者の懐が豊かにならんと。そうせんと地元へお金が落ちんし、結局町が寂れていくことになる。この産直が一般の商店と違うんは、仕入れが町内からだということ。
つまり、よそからのお金が全部町内に落ちるということなんよね。町内の人にどんどん農業してもらえれば、やがてそれが町の活性化につながるんじゃないかな。
新しい道の駅も、この地域の農家が栄えることによって町が栄えるといった理念でやっていきたいよね。
邑南町の核ということになりゃ、ネット販売なり何か新しいことも始められるかもわからんけど、ちいとずつから始めて少しずつ膨らんでいきゃあええなと。
いろんな意味での流通の拠点になっていくんじゃあないかなぁ。わしももう80になるけど、元気なうちは出荷者として頑張らせてもらおう思いよります。